「自分で米麹が作れたら、どんなに良いだろう~!」
「素人でも出来る米麹の作り方って?」
この春、念願だった”なかじさんの麹の学校”に参加してきました。こんにちは、発酵家庭料理研究家のまごきょんです(●´ω`●)
”麹の学校”とは、米麹の作り方をみっちり3日間学び倒す合宿スタイルの講座です。
麹の学校について記憶に新しいうちに!と思いつつ…あまりにも内容が盛りだくさんなため
このように3回に分けたいと思います。
という事で今回は、麹の学校・体験編です。おっと!米麹の作り方の前に、麹の学校の目的とカリキュラムを紹介します!
でも「早く作り方が見たいよ~!」というなら、目次の〔3.米麹の作り方・材料と用意するもの〕へ飛んでくださいね。
”麹の学校”カリキュラム
家庭のキッチンで、気軽にかつ確実に米麹を作りたい!そんな願いを叶えるため”このブログをはじめたワケ「発酵食と私」”にも登場している発酵冒険家のなかじさんに”米麹の作り方”を教えて頂きました。
ちなみになかじさんは、寺田本家の蔵人頭を務めておられたこともあり麹作りのプロです^^
- 麹を実際に家庭で作れる知恵と技術
- 麹の幅広い知識
- 麹の生活への応用
- 麹の文化と歴史
- 麹と人との関わり方
- 発酵する暮らし方
- 発酵して幸せに生きる”発酵ライフ”
麹の学校のカリキュラムはこちらです。
講義1:麹作り実践の流れ&概要(お米の原料処理)
蒸し・種きり・保温(包み込み)・切り返し・盛り・仲仕事・仕舞仕事・仕舞仕事後の保温(酵素の蓄積)・枯らし講義2:麹学
- 麹とは?
- 麹はどこから来るのか?
- 麹の役割
- 麹の酵素
- 麹の歴史
- 発酵とは?
講義3:麹の食文化
- 味噌、醤油、甘酒、酒、酢、みりんへの働き
- 種麹の役割(種麹屋の話)
- 人の身体への貢献
講義4:特別講座「酒造学」
- お酒造りのこと
- どぶろくのこと
- 自然発酵について
- 酵母菌について
- 乳酸菌について
上記の他に”最終講座”として、自宅での実践へ向けての質疑応答がありました。
それではこのあと、いよいよ米麹作りのスタートです!体験談を交えつつレポートしていきますね。
”麹の学校”スケジュール
そうそう!麹作りってのべ3日かかるんですが、実際は仕込んでから48時間後に完成します。
なので麹の学校のスケジュールは、こんな感じ。
麹の学校:1日目
11時に現地集合。お米を蒸す準備をしながら、周りに自生している野草(セリ・よもぎ・スギナ)を採る。
お米を蒸しはじめて昼食。
昼食後、蒸しあがったお米で麹作り開始。
15時から講義スタート。
17時に講義終了。
22時ごろ麹仕事あり。(お泊りの方で対応)
麹の学校:2日目
10時から麹仕事の開始。途中、昼食タイムあり。
15時から講義スタート。
17時に講義終了。
22時ごろ麹仕事あり。(お泊りの方で対応)
麹の学校:2日目
10時から講義と麹仕事の開始。途中、昼食タイムあり。
14時すぎに麹完成!
15時に全講座終了。写真撮影。解散。
1日目のスタート時、なかじさんがまず私たちに力説してくださった言葉。
というもの。
はいっ!そのお言葉通り、とことーん体験しまくってきましたよ♪
では実際に体験する前に、米麹作りの工程を頭に入れておきましょう。あ、材料と準備物もまとめました!
米麹の作り方・材料と用意するもの
米麹作り全体の流れはこんな感じです。いろんな専門用語も出てきて勉強になりました。- 洗い:お米を洗う
- 浸水:お米を水につける
- 水切り:お米の水を切る
- 蒸し(むし):お米を蒸す
- 蒸取り(むしとり):40度まで冷ます
- 種切り(たねきり):麹菌の種付け
- 包み込み(つつみこみ):麹菌が発芽&成長しやすいよう保温
- 切り返し(きりかえし):温度を均一にするため
- 盛り(もり):麹蓋(木箱など)に移して片方へ寄せる
- 仲仕事(なかしごと):箱全体に広げる
- 仕舞仕事(しまいしごと):手を入れて混ぜ畝状にならす
※仕舞仕事後も温度管理しながら保温(夏場は不要の場合も) - 出麹(でこうじ):管理終了
- 枯らし(からし):湿気と熱を飛ばす
- 完成!
上記の”包み込み”から”出麹”までが、約48時間というわけですね。ちなみに、包み込みから仲仕事までは、基本的にず~っと保温しています。
ただし、夏場は温度が上がりすぎないように注意が必要。実は夏って高温多湿なので、放っておいても麹ができちゃうくらいだそう。
麹菌ってカビ菌ですからね。夏場に作るのがチョット楽しみ♪
- お米(ササニシキなど):4キロ
- 種麹(もやし):4g×3倍=12g
〔お米:種菌=1000:1〕の2~3倍を使うと失敗しない - 蒸し器(木製のセイロが理想)
- おたま
- 温度計(室内外を測れるもの)
- 蒸し布
- 帆布
- 茶こし
- 木箱(麹蓋と呼ばれるもの)
- さらし布
- ビニール袋
- 毛布
- 湯たんぽ
こちらが、1日目の昼食。主催者他谷さんお手製の発酵ランチです♪
皆さんで採ってきた野草もふんだんに使われていて、とっても美味しかった~(●´ω`●)♪
さすが私の地元”発酵の師匠”他谷さんのランチは、シンプルだけど奥が深くてカラダが喜ぶ~♪
麹の学校1日目:米麹の作り方1~8番
1日目は、米麹の作り方1~8番までの工程を体験しました。1~3.洗い・浸水・水切り
- お米を洗う。この時力を入れて研ぐのではなく、軽く水で2回ほどすすぐだけ。微量のぬかが麹菌のエサになる。
- 洗ったお米を一晩水につける。12時間くらい。玄米の場合は長めに。新米は6~8時間でOK。
- じゅうぶんに水を吸ったら、90分ほど水切りをする。
- しっかり吸水しているか見分けるには、ひと粒の米をひねり潰してみる。
このようにサラサラの米粉になればOK。(”カシを見る”と言われる)
お米を洗って浸水までは、前日に行う工程なので主催者他谷さんにおまかせ状態。なので当日は水切りから。
と言っても”洗い・浸水・水切り”までは、到着した時すでに完了していましたが…。
4.蒸し
麹を作る上で、最もキモとなるのがこの”蒸し”という工程。米麹作りは”蒸しの作業が9割!”と言われるほどもっとも大切な仕事。これだけしっかり押さえておけば、麹は勝手にできるとか…。
- お米を張る。(蒸し布を敷いた蒸し器にお米を入れていくこと)
- お玉で少しずつ埋めていく感じ。
- 蒸気が抜けてお米が半透明になっているところをめがけて上に乗せていく。(お米に蒸気が上がることを”抜け掛け”と言う)
- 6割ほど抜けたらお米を上へ乗せる。できるだけ水平に。すりきりいっぱいまで入れてOK。
- 全部お米を積み終わって、蒸気が抜けるのを確認したら蓋をする。
- ここから約40分。火加減は中の強。(今回は薪で蒸しているが、家庭用ガスコンロでOK)
- お湯が減って空焚きにならないよう注意すること。(お米に臭いが移ってしまう)
- お米をつまんでひねり潰す。お餅のように伸びれば蒸しの完了。まだカタイようなら10分ごとに延長しひねり餅を作って確認。
- 蒸し器は、結露ができない木製セイロがおすすめ(特に和セイロは、蒸気の勢いが強くしっかり蒸すことができる)
- 蒸し布は濡らさないこと
- お米を入れる前に蒸気がしっかり上がっていること
金属製の蒸し器は、どうしても内側に水滴(結露)がつきます。それをお米が吸ってしまうので、どうしてもベチャっとなってしまい麹がうまく出来上がりません。
和セイロがなくても、木製のおひつや寿司桶を使うなど、できれば家庭にあるもので工夫したいものです。ちなみに中華セイロは、使えるけどすぐにヘタってしまい隙間だらけになるそうです^^;
その場合は、水の状態から火を入れてお米を蒸し始めること。こうすることで、お米全体が均等に蒸し上がるそうです。
5.蒸取り
- 事前に、帆布(厚めの綿100%キャンバス地)は洗って乾かしておく。
- 種麹と温度計を準備しておく。
- お米が蒸しあがったら(無事ひねり餅ができたら)、帆布の上に広げる。
今回は、地元産の”高島帆布”を使用。
- 種麹が火傷しないように、手を入れて(熱ければしゃもじなどで)カタマリを崩して広げる。(”床もみ”と言われる)
この蒸米に触ると”お肌がスベスベになる”と聞いた参加メンバーの手が…!
- 厚さ2~3cmくらいの四角いカタチに広げる。温度は40℃前後。
- もう一度温度を計る。(冬季:42~43℃ / 夏季:36~38℃)
寒い季節だと、すべての作業が終わった時に30℃を切っていることがあるので注意です!
- 帆布の大きさは、お米5キロに対して1メートル四方あればOK。
- 帆布は、一度使ったらお湯で洗っておくこと。(洗剤は使わない)
- 冬場は予め部屋の温度を上げておく。(ちなみに麹の室は36℃くらい)
蒸取りのあとは、いよいよ麹菌を植える作業”種切り”ですよ~!
6.種切り
- 計量した種麹の1/3を茶こしに入れておく。3回に分けて振りかけるので。
- 四角く広げた厚さ3cmの蒸米の上全体に、種麹1/3を振りかけていく。
- 手のひらを使ってひっくり返し、裏側全体にも種麹1/3を振りかけていく。
- 全体を混ぜ合わせて広げ、残りの種麹1/3を振りかけていく。
- 最後に全体をまとめ上げて、ひとつの山にする。
- 分量計算は、お米1000gに対して種麹1g。つまり1000対1。
ただし、その2~3倍の量を使うと失敗しない。 - 種切りの際は、空気の流れを止めること。
(窓を閉め風が入らぬように、おしゃべりや人の動きもなくす)
なかじさんは種麹を抹茶の缶に入れ、コンコンと指で缶を叩きながらリズミカルに振りかけておられました。これぞ職人の技やっ!
7.包み込み(1日目の15時)
- 種切り後の蒸米を一つの山にまとめる。
- 温度計の先を入れて帆布で種切りした蒸米を包む。
- ビニール袋へ入れ、さらに毛布で包む。
- 湯たんぽで上下をはさみ、さらにその上から毛布をかける。
この時持ち運びしやすいよう、木箱などの上に置くと良い。
- この時点から約48時間後に米麹が完成する予定。(この時30℃を切らないように)
- 包み込みは、麹作りの室(むろ)を作るイメージで空気を温める。目安となる温度は30~34℃。
発泡スチロール、茶木箱、段ボール箱などを利用しても。 - ビニール袋へ直接湯たんぽを当てないこと。
熱源は、他に電気アンカ、電気毛布、コタツなどを利用しても。
ここからの24時間が発芽期間です。まるで子育てをしているような…。
8.切り返し(1日目の22時半)
麹カビの繁殖、温度、湿度を均一にするための作業が切り返し。お泊りのメンバーさんが行ってくださいました。- 包み込みから8~12時間後に行う。麹の温度は32~34℃が目安。
- 切り返す前に、部屋を温めておく。
- 山を崩して広げ、お米のカタマリをなくすように手のひらで1粒ずつバラバラにする。
- 全部がバラバラになったら山にして、元通りに包み直す。
この切り返し時に白い斑点が見えたら、それが発芽の印!この麹菌の菌糸が伸びて蒸米に入ることを”破精(ハゼ)”と言います。
お団子状に固まったままだと、種麹がつかないまま”落ちハゼ”になってしまうそう。
- 切り返しのタイミングで、もし30℃を下回っていたら切り返さないほうがベスト。
(切り返し時に32~34℃になるよう保温をしておく) - 麹をつくる時は、納豆よりみかんなどの柑橘類に触れないように。
- 納豆菌:バクテリア系(水分の中を移動)→麹作りの環境では居づらい
- 柑橘類:他のカビ菌が付着(空気中を移動)→麹作りの環境を好む→麹カビ以外のカビが繁殖!
これで1日目は終了!お疲れ様でした~。米麹の作り方は、まだまだ続きますよ!引き続き麹の学校2日目へどうぞ♪
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