「去年漬けたへしこを開けましょう♪」
「小浜からへしこ博士をお呼びして講座を開いてもらいます!」
こんにちは!福井のソウルフード!へしこもだ~い好きな発酵家庭料理研究家のまごきょんです(●´ω`●)
いよいよ去年の12月に仕込んだへしこと対面できる日が来たので、めっちゃ楽しみにしつつ他谷さんのハーブの家へ行って参りました!
しかも当日は、デラックスなことに福井県の小浜から”へしこ博士”が、わざわざ来てくだったんです!
こんな機会はめったにないってことで、根掘り葉掘りへしこについて聞いてきました♪
ザ・へしこ開き!1年ぶりにへしことご対面♪
1年ぶりのへしことのご対面!この日行われた”へしこ開き”の流れは、こんな感じです。- まず、今回のメインイベント!へしこの樽を開封♪
- へしこ博士小坂先生のお話を伺いながら、美味しいへしこの条件を伺う!
- みんなでへしこの糠を味見する!
- それぞれ自分が仕込んだ鯖の数だけ袋に取り分ける!
- お楽しみ発酵ランチタイム!
- へしこ博士による”究極のへしこ講座!!”タイム!
- みんなが聞きたい質疑応答タイム!
- へしことおみやげ(無農薬野菜)を持って解散!
それでは、重要なポイントを外さないよう注意しながら、へしこ開きとへしこ講座の様子をお伝えしていきますね!
へしこの樽4つをオープン!はたして出来栄えは?
午後からのへしこ講座だけではなく、樽をあけるところからへしこ博士の小坂先生が登場!
ちょっと薄暗いハーブの家の玄関フロアでプチ講義がスタートしました。
蔵からすでに運び込まれいたへしこの樽が、先生の足元に。ハーブの家中にへしこの香りがほわわ~んと漂っています。うぅ…この香りたまらん!ランチタイムが待ちきれない。。。
ちなみに小坂先生は、現役の若狭高校の先生。そしてへしこ博士も自称ではなく、へしこの研究を学会に出しておられる正真正銘の博士!
ホント!福井のへしこ愛がハンパないのです!!
「美味しいへしこの条件ってなんだと思いますか?」
ん!?美味しいへしこに条件があるって?確かに美味しくないへしこもあるんだろうけど…。でも、いったいどんな条件がそろえばOKなの?
美味しいへしこの条件とは?
小坂先生曰く「美味しいへしことは?3つの条件がそろうことです」なんだそう。まずは、香り。まるで桃のようなフルーティな香り。そして、お味。旨みたっぷりで複雑なへしこの味は、だれもがトリコになります。
そこまでは順調に声があがったのですが、最後の1つがなかなか出てきません。その答えは・・・「へしこの色!」だったのです。
上記の画像のように、美味しいへしこは赤っぽい飴色というか綺麗な琥珀色な感じ。もともとの鯖の身の色(白っぽいグレーのような?)ではないですよね。
つまり、樽を開けてみて美味しいへしこになっているかどうかの見極めは、糠を取り除いて身をさいてみること。そして色、味、香りを確認するのです。
美味しいマサバへしこの条件3つ
- 香り:なんとも言えない食欲をそそる芳醇な桃のような香り
- 味:複雑な旨みが入り交じったふくよかなお味
- 色:”メイラード反応”によるきれいな赤っぽい琥珀色・茶褐色
これらをチェックすることでした。
そしていよいよ、へしこの糠の味見を開始ですよ!
糠が美味しすぎる!
4つの樽、すべての樽を味見しました。その結果「どれも味が違う!」ということに驚愕。同じ日に同じように仕込んだはずなのに、すべて味が違うんです…。
仕込んだ鯖の数や樽の大きさや糠の量、仕込む人たちの手に住み着く常在菌、重石や保管されていた場所の様子など、さまざまな条件が重なって”へしこの味”を左右するのですね。
糠の味見を堪能したところで、いよいよ持ち帰り用のへしこを袋へ入れていきます。もちろん美味しい糠も一緒にです♪(ちなみに私は5匹分)
このとき、手についた糠を食べながら酔っ払いそうに。。。(実はアルコール成分も発見されているそうです)
その時、へしこ博士から興味深いお話を伺いました。こちらの写真をみてください。
素人には”カビ”にしか見えない黒い物体。白いモノもついていました。
実は、これは酵母。おそらく産膜酵母らしいのですが、これがついていることはへしこが成功している証拠だそうです。黒い色もついていて良し。
えっと・・・。素人にゃぁ判断できませんねぇ…。(汗)こんなの見つけたら「あ!黒カビ!やばい!」ってなりますよね。普通。微生物の世界は奥が深いです。はい。
ちなみに、自宅での保管方法も伺いましたよ。
樽から出したマサバへしこの保存方法
- 糠でへしこを覆うようにしてなるべく空気を抜いて密閉し、涼しい場所へ!(冷蔵庫なら野菜室)
- 樽を開けた瞬間から酸化が始まっているので、できるだけ1~3ヶ月以内に食べきる!
- 1匹出したら全部カットして食べる分だけ出しながら、真空パック保存がおすすめ!
家庭用の真空パック機、そろそろ欲しいなぁ~。これがあると保存に便利だし…(*´ω`*)
へしこ博士&漁師さんとの発酵ランチタイム!
他谷さんの発酵ランチは、ホントに絶品!シンプルだけど奥が深くてどんだけでも食べれちゃう。毎回勉強になります。参加者さんで握ってくださったおむすびが、めっちゃ愛らしくて美味しい~♪
発酵調味料をふんだんにつかったランチ。醸してあった鹿肉は、臭味がなく旨みたっぷり♪
じつは、おむすびも発酵食なんですよ!握った人の手に住み着く常在菌がご飯を醸してくれます。だからお母さんのおむすびは美味しいんですね~(*´ω`*)
小坂先生とそのとなりには、へしこ弟子(?)で漁師さんでもある角野さん。私も同じテーブルで、いろいろお話を伺いながらランチをいただきました。
今回同行してくださった角野さんは、漁師さんなのに船酔いが酷くて3年で船から降りたそうです^^;その代わり今は、小坂先生ご指導のもと、福井小浜でも屈指の絶品へしこをつくる職人さんに。
いや~角野さんのへしこ、見逃せませんね。ぜひ食べてみたい!
しかもへしこのなれずしがヤバイらしいのです♪ おそらく来春くらいに小浜ツアーが決定しそう。絶対に行きますよ。
そうそう!角野さん「どうしてこの日、商品のへしこを持ってこなかったのか」と、小坂先生につっこまれていました~。(笑)
へしこ博士の究極のへしこ講座!!
正直、お腹がいっぱいなので眠くならないか…って、チョット心配だったんです。ところが、講座がスタートしたら眠くなる暇もない!
とっても興味深くて面白いへしこ講座に興奮しましたよ♪ さすが現役の先生ですね。
へしこ博士こと小坂先生は、先程したとおり現役高校の先生。正確には”福井県立若狭高等学校海洋科学科教諭”で、東京海洋大学の非常勤講師も兼務なさっているそうです。
そんな小坂先生は神奈川県のご出身。平成13年、福井県立小浜水産高校(当時)の先生として赴任されました。
するといきなり「へしこ仕込んでや!」と言われて一人にされ、右も左もわからない状態からへしこと向き合う日々がスタートしたそう。(最初はへしこを道具だと思って、まずはホームセンターに行き「へしこください!」と言ってしまったというウソのようなホントの話まで…)
職人さんに張り付いてへしこの仕込み方を教わり、生徒さんともへしこを仕込むなか・・・
「そこで、へしこの微生物の役割を解明した」
と様々な研究を行い、へしこについては誰も解明したことがなかったため学会で論文を発表。博士号を取得なさったそうです。
そのおかげで、名実ともにへしこ博士となった小坂先生のもとには、授業中でもへしこ相談の電話がしょっちゅうかかってくるとか…(´∀`;)
そうそう!特に興味深いのがこのラットへの実験。
高血圧な人の場合も1日2切れのへしこを食べることで、血圧が下がるそうです。スゴイですね!へしこの美味しさの秘密でもあるペプチド効果なのでしょうか。
血圧と塩分の関係は、発酵食には当てはまらないようで…。酵素パワー恐るべし。まだまだ研究は続きます。
それでは難しい用語などは抜きにして、今回解説して頂いた”へしこの定義”と”作り方のコツ”をまとめてみましょう。
へしこの定義とは
- 加塩量20%以上。
- 30℃以上の熟成。
- 塩汁(すえ)をはる。
- 7ヶ月以上のぬか漬け期間。
※微生物の役割と魚肉酵素の役割を理解する。
- アミノ酸は、魚肉の酵素
- 有機酸・香りは微生物
小坂先生が様々な実験をなさった結果、へしこの旨みは・・・
- 鯖自身が持っている酵素が熟成に深く関わっていること。
- 乳酸菌も大量に増えており、腐敗菌を寄せ付けない役割と酸味。
- また、へしこの香りにも微生物が関与している。
つまり、微生物と魚肉の酵素が鯖を醸して混ざり合い、あの味わい深いへしこを作り出していた。ということですね。
そのためには、夏の30℃以上をこえた7ヶ月以上の熟成が必要なのです。
さらに質疑応答で詳しく伺って、へしこ博士によるへしこの作り方をまとめてみました。
究極のへしこ講座による作り方
- 鯖(600g/1匹)の内蔵を取り背開きして、20%の塩で塩漬けにする。
- 7~14日ほど涼しい場所で漬けておく。
- 鯖からでてきたエキス(これが魚醤のもと)を取り出し、真水で3倍に薄める。
- 鯖に対して30%の米ぬかと3番の鯖から出た水を薄めた液、鷹の爪、プラスチック樽、ビニール袋、重石(30kg)を準備する。
- 樽に米ぬかを敷いて、塩漬けした鯖に米ぬかをたっぷり詰めながら漬けていく。
- その時、鯖を漬けながら3番の塩鯖エキスと鷹の爪も混ぜ込む。
- 残った塩鯖エキスは、空気や雑菌を遮断するため”水分(すえ)”として一番上に入れる。
- 重石を乗せ、その周りから”すえ”を流し入れる。
- 樽上部まで重石ごと、ビニール袋できっちり封をする。
- もし夏場などに”すえ”が蒸発してしまっていたら、追加で飽和食塩水(※)を作って上澄みを流し入れる。
- 7ヶ月~12ヶ月ほどで熟成完了!樽をあけてへしこの出来具合をチェックする!
※飽和食塩水について先生に作り方を伺っても「塩を水にたくさん入れて溶け残りがでたら出来上がりです」とだけだったので、ちょっと調べてみました。
1リットルのお水に400g以上の塩を入れて、よーく混ぜ合わせます。すると、底に溶け残った塩がたまるはず。その上澄みが飽和食塩水というわけです。
へしこ講座の質問タイム
- マサバ以外でへしこにおすすめの魚は?
- 鯖(さば)以外でもできます。
- 鰤(ぶり)
- 小アジ
- ハタハタ
- あいご
- 鰆(さわら)
- 鰯(いわし)
- イカナゴ
- へしこを漬け込む樽でおすすめは?
- プラスティック樽のほうが失敗が少ない。木樽は水分が蒸発するので、難しい。また美味しくできたへしこの糠を少し混ぜると良い。
- へしこを仕込んだらどこへ置くのがよいの?
- 夏に30℃を超えたいので寒いところはダメ。学校で仕込んだへしこの樽はベランダに置いている。なので外でもOK!ただし動物が破らないよう、また虫の混入に注意する。
ちなみに主催者の他谷さんは、琵琶湖の”ブラックバス”や”うぐい”でもへしこを仕込んでみたそうです。結果はいかに~^^
今回のへしこ開きはお土産付きだったのですが、それがこちら。
~zund耕園(ずんどこうえん)さんのオーガニック野菜~
すべて美味しくいただきました~(*´ω`*)♪
にしても、なぜハーブの家で漬けたへしこがすべて美味しくできていたのか。。。今回教えていただいた小坂先生のノウハウと違うのに、です。
それは、鯖の処理方法や塩と糠などの質と配合、そしてなによりハーブの家の環境や他谷さんのまとっている微生物たちの成せる技なのでは…..と、先生も含め皆んなが思ったのでした~!
まとめ
- へしこ開きでは、それぞれ味は違えど4樽とも大成功!
- 美味しいへしこの条件はこの3つ(香り・味・色)をチェック!
- へしこの定義とコツ
- 加塩量20%以上。
- 30℃以上の熟成。
- 塩汁(すえ)をはる。
- 7ヶ月以上のぬか漬け期間。
- へしこの旨みは、微生物と魚肉酵素が関わっている。
- アミノ酸は、魚肉の酵素
- 有機酸・香りは微生物
- へしこはコツさえ押さえれば簡単に美味しくできる!
- ハーブの家で漬けたへしこもすべて美味しかった!
それにしても、ガッツリとへしこについて学んだ1日でした。去年のへしこWSとあわせるとかなりの知識量になってきましたよ(`・ω・´)ゞ
あとは実践あるのみですね!今年もへしこ、しっかり仕込みます~~♪
ちなみに持ち帰ったへしこは、その日の夜にさっそくいただきましたよ!
実際にへしこをいただいた絶品レシピについては、またくわしくまとめたいと思います。
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